最後にあげるのは、ガットの場において、米国とECが事実上豪族支配を行なう危険性があることである。
ECは拡大の一途にあり、将来はEFTAと東欧の諸国を飲みこんで巨大化するであろう。
強力な交渉力をもつ米国は、北米自由貿易協定の成立によって地盤が拡大しようとしているが、自国の地盤沈下で自国のための利益追求が強くなっている。
ガット体制にとってこれまで最も重要であったのは、米国の強力なリーダー関係国が交渉を続け、ガットにおける決定をわずらわせずに、2国間で合意に達することが多い。
ガットは当事国による問題解決をガットの原則やルールに基づいたものであるかぎり奨励している。
複雑に変化する世界の経済貿易事情に対してガットは迅速かつ有効に対処することを期待されている。
しかし、国際機関としてできることに限界があるのも事実である。
ガットの基本性格は、このような状況から判断しなけれぽなるまい。