2014年10月アーカイブ

「二十三年前と何ら変わっていない」。

九六年2月に青果を受け持つ農産部長に就任したマイカルの河野芳治氏はがく然とした。

入社してすぐに生鮮野菜を担当、その後鮮魚や精肉などの部署に移り、久しぶりに生鮮野菜担当に戻ったが、入社時と比べても青果流通の中身自体はほとんど変わっていなかったからだ。

だが、表面的にそう見えても、産地と小売りの連携強化を通じて、既存の流通の仕組みにインパクトを与えるような変化の波はじわじわと押し寄せている。

「国産を中心に生鮮食品の品ぞろえを拡充するため、産地との提携を広げていく」(岡田卓也ジャスコ会長)。

ジャスコは産地を巻き込む形で、新鮮で、しかも割安な商品の安定仕入れに力を入れてきた。

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酪農王国社長の近藤忠一同農協組合長は「初年度の来客数三〇万人、売上高は一〇億円以上を目指す」と意気込んでいる。

同農協の酪農家数は五四戸、牛乳製品の年間売上高は三二億円。

酪農の歴史は百年以上あり、首都圏のスーパーや県内の牛乳販売店などに納入しているが、ここ数年は頭打ち状態が続く。

「丹那牛乳などの知名度はあるが、加工食品を使って小売りに販売を依存するだけのやり方には、いずれ限界がくる」(近藤社長)。

こうした危機感が、初期投資額一二億円、面積一万九〇〇〇平方メートルの"王国建設"に駆り立てた。

メニューは地場農産物を使ったものが中心。

特に地ビール工房は、年間生産量五五〇キロリットルと地ビールでは国内最大級。

静岡県、伊豆半島の入り口に位置する函南町で、日本中の酪農家が注目するプロジェクトが進んでいる。

地場食材を使ったアイスクリーム、チーズなどの乳製品、牛ステーキ、有機栽培野菜・果物、地ビールなどを提供する四五〇人収容のレストランを中核施設とした一大レジャーゾーン「酪農王国」の建設だ。

開業予定は九七年。

運営する第三セクター「酪農王国株式会社」は、地元の函南東部農業協同組合と函南町が七五%を出資。

有機農産物宅配の大手、日本リサイクル運動市民の会(東京・新宿、会員世帯数五万五〇○○)や有機農産物の加工品メーカー、フルーツバスケット(静岡県函南町)などが民間から名を連ねた。

九六年夏には、各団体の代表者からなる取締役会を開き、着工への詰めをした。

生産者に対し、買い入れ価格以外のサービスもおこたりない。

九六年春消雪剤や消雪剤の利益で生産者に安く肥料を提供し、米の品質安定につなげる五年後に通販の主媒体はインターネットになるとの判断からだ。

ホームページで水田の写真などを消費者に提供する一方、生産者に消費者からのクレームなどを還元するという。

より直接的な生産者と消費者の関係を構築するために先端技術も活用する。

涌井代表は巨大販路のスーパーや経済連にしがみつくコメ卸や農協が「市場から消え去る前段階」にあるとみる。

いずれスーパーが自ら集荷・卸機能を取り込むと見るからだ。

そのことに従来の集荷・卸業者もようやく気付き始めた。

あきたこまち生産者協会による独自の価格による集荷・販売ルートづくりはコメ集荷・卸業者にとって当然の戦略になっていくだろう。

同じ戦略をとる業者との競合でどう生き残るか。

今後、同協会の真価はそこで問われることになりそうだ。

コスト削減を目的に進めている中国山東省での冷凍総菜生産も、コメビジネスの拡大につなげる。

山東省ではこの五年で八工場、二物流センターを建設し、すしネタ、とんかつなどフライ各種の生産を始めた。

人出のかかる冷凍食品を安価に生産する一方、国内のコメを組み合わせて、冷凍すしや弁当など付加価値の高い商品開発に取り組もうとしている。

消費地に遠い四国・観音寺に本社をおく宿命で、「東京の同業メーカーと比較するとマーケティングカや営業力に劣るL(加藤社長)。

うどんだけ、エビフライだけの単品工場を本社の周囲に展開し全国に供給する「フローズンタウン(冷食工業団地)」方式によって品質管理を徹底、量産効果を引き出して成長してきた。

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「豊富な原料を抱える中国、先端頭脳を持つ米国、市場状況把握に優れた日本で市場は三極体制を構築していく」(岡田社長)という。

味の素が天然調味料などの新工場(川崎市)を約六〇億円を投じて建設に着手するなど大手も攻勢を強めてきたが、アリアケはさらに飛躍の舞台を広げようとしている。

コメ市場自由化に合わせて、精米とコメの卸売り事業にも進出した。

新潟県塩沢町には精米工場を設立したほか、首都圏や香川県の米穀卸と提携、加工米飯から一歩進んだコメそのものの取引にも事業を拡張した。

「全温度帯のコメ商品を手掛けることで市場に深く食い込む」(加藤社長)戦略
だ。

コメ市場はめん類市場の一〇倍の約四兆円。

うどん同様のシェアを握ると仮定すると加ト吉のコメ事業は最大で一〇〇〇億円規模に成長する可能性を秘めている。

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