2015年7月アーカイブ

ニトロソアミンと、タバコに関するかなりの部分は、黒木登志夫著『がん細胞の誕生』(朝日選書)を参考にした。

この本の中に、非常に示唆に富んだ表現があるので、その部分を引用しておこう。

研究が進むにつれて、ひと口に発がん物質といっても、ピンからキリまでさまざまであることが分かってきた。

食物に混ぜて食べさせたとき、半数の動物にがんを作る量は、マイクログラムからグラムまで100万倍の間に散らばっている。

つまり、同じ発がん物質といっても、大悪玉もいれば、中悪玉、小悪玉もいる。

中には悪玉なのか善玉なのか区別がつけにくいものもある。

"恐れるべきを恐れず、恐れざるべきを恐れる"ことにならないよう、今こそ、発がん物質を評価する新しい道を探るときであると思う。

食品添加物に厳しい目を向ける消費者運動の人たちがタバコを吸っているのでは何にもならない。

ビタミンCは抑制効果が強いといい、タバコを吸う人の唾液や胃液に多く含まれるチオシアン酸イオンは、促進作用をもつという。

タバコがここでもワルサをしている。

タバコとガンの関係について、これを否定する学者は、もうほとんどいない。

エイムズ博士のリスクランキングでは、危険度1万2千とされているし、ランキングについて反論している学者たちも、タバコの発ガン性は認めている。

キリスト教の宗派の一つモルモン教徒は、全米平均に比べてガンが少ない。

非常に厳しい生活習慣を守っていて、飲酒、喫煙、コーヒー、お茶を禁じているためと推定されている。

ガン全部の死亡率は全米平均の75%、口腔、咽喉、肺、食道など、喫煙と関係あるとされているガンに限ると、何と全米平均の45%、半分以下ということだ。

残留農薬検査
猛毒物質の代表格のようにいわれる青酸カリ(シアン化カリウム)は、0.2㎎で人を殺せるが、金属の精錬やめっきなどに用いる限りは有用な物質である。

薬にだって同じようなことがいえる。

便通の良い人にとって、便泌薬は下痢を誘発させる代物でしかない。

他にもまだある。

睡眠薬は、不眠症の人にとっては薬だが、一定量を越えると死んでしまう。

血圧降下剤も、高血圧の人には薬だが、低血圧の人には毒でしかない。

「医者のサジ加減」とは良く言ったものだ。

ところで、もう一度、質の話に戻ろう。

虫も草も、そして人間も、地球上の生物という枠でとらえれば同じような生き物だ。

しかし、どういう生物かと考えれば、これは全く別な生き物である。

必要とする栄養もエネルギー源も違うし、生まれてから死ぬまでの生理作用もまるで違う。