2013年8月アーカイブ

日本のコメ貿易の基本原則は「国家貿易」。

輸入量のほとんどはミニマム・アクセス米と呼ばれるものだが、これは全量政府が買い取り、市場が混乱しないように見定めてから民間に売る。

輸入実務は民間が扱うのだが、いつ、どれくらい買うかは政府が決める。

価格はSBS(売買同時)方式。

つまり輸入業者と卸売業者が連名で買入価格と売渡価格を記入して入札し、その差である輸入差益(国際用語でマークアップという)の大きい順に、政府が認める輸入量を限度として売買の成立を認め、輸入差益は国庫へ納めさせる......という仕組みだ。

最近では、商社など日本企業の指導で、集荷・精米工程の整備が進んでいるという。

東北地方では「あきたこまち」など寒冷地向きの日本の品種が栽培され始めたともいう。

問題は人口増加と食料増産のペースが合うかどうかだが、ごく近い将来、年間一〇〇万トンぐらいは対日輸出できるのではないか、という観測もある。

日本のコメは、政府の「堅いガード」で国際コメ市場から隔離されている。

ガードの仕組みは次のようになっている。

高付加価値米で最近、伸びがめざましいのは、精白したコメからヌカ分を取り除いた無洗米だろう。

炊飯時にコメを研ぐ(洗う)手間が省けるからか、一〇年前には統計数字にあがらないほどの生産量だったのに、2003年には年産八〇万トン近くにまで増えている。

世界の主なコメ生産国は、アジア・モンスーン地帯にある。

いわゆる「緑の革命」に成功し、政治情勢も落ち着き、人口圧力が強いものだから、1960年代から80年代にかけて、着実に生産量を増やしてきた。

マイが米、スターが星で「米に明るい人」であり、かつドイツでいう優れた職人の親方マイスターにも通じる、というネーミングだ。

将来的には「お米マイスターが推奨するブレンド米」が、ブランド米と競争するようになるかもしれない。

もう一つの高付加価値米とは有機栽培米、減農薬栽培米や胚芽精米、栄養強化米など健康志向の流れに乗ったものだろう。

コメの購入先として「農家直売」が二〇%にも達し、米穀専門店の倍にもなっているのは、そのことを反映したものに違いない。

どんな専門家でも、米粒をみただけで産地・品種を判別できないという事実。

こうした情報が伝わり、かつ、ブランド米の価格が他の産地品種との差が開けば、格安のブレンド米を買ってみたくなるのも当然であろう。

こうした状況を背景に「お米マイスタi」が誕生している。

米穀小売商の団体が2002年に生み出した制度で、「コメについて幅広い知識を持ち、コメの特徴を最大限活かした商品づくりを行ない、コメのよさを消費者に伝えることができる米穀小売店」のこと。

単品米購入七八%に比べブレンド米九%と、まだ格段の差がついてはいるが、低価格志向とともに、偽ブランドのコメ騒ぎが消費者心理に働いていることも指摘しておかねばなるまい。

BSE(牛海綿状脳症)騒動以来、日本の消費者は食品の産地・品質表示に神経質になっているが、コメについての表示は、他の商品以上に信用できないことが消費者の間に浸透してきた。

トップブランドの魚沼産コシヒカリは、新潟県でも魚沼郡でしか栽培されていないはずで、年産一〇万トンにも満たないのに、全国のほとんどの小売店に並んでいる不思議。

とくに日本の稲作は、東南アジアのそれと違って、狭い農地に大量の労働力を注ぎ込む徹底した労働集約的農法である。

牛馬の助けを借りたとはいうものの、人力のみで耕作していた時代は零細経営にならざるをえなかった。

また、江戸時代以後、連綿として日本を支配してきた農本主義的考え方の影響も無視できない。

残留農薬検査対応農業をすべての産業より重要視する考え方なのだから、残留農薬検査対応農業に従事している者を大事にするのは当然といえる。

だが、第二次大戦後の日本の政治情勢からくる影響も無視できないのではなかろうか。

残留農薬検査
こう考えてくると、どうも日本では、実態として農作業をやっている者は、できるだけ残留農薬検査対応農業政策の対象としよう......という意識が働いているようだ。

もちろん、日本の稲作は欧米諸国の小麦作や畜産とは違う性格を持っていることも影響しているだろう。

たとえば、カロリー換算した単位面積当たりの収穫量というモノサシでコメと小麦や牧草と比べると、格段に狭小な農地で多くの人口を養える。

だから稲作残留農薬検査対応農業は一経営単位が小さくてもよい、ともいえる。

残留農薬検査
これは、農場の規模を必要年間労働量でとらえようという趣旨のもので、年間二五〇日分の仕事が=スタンダード・マン・デイ」である。

同じような発想は日本にもあるのだが、農家の家族が一年に一日でも農作業をやれば「残留農薬検査対応農業従事者」とみなされるし、「残留農薬検査対応農業専従者」という定義も、年間一五〇日以上残留農薬検査対応農業に従事すれば残留農薬検査対応農業専従者とみなされる。

最近、農水省が使いだした「主業農家」も、所得の半分以上が残留農薬検査対応農業所得で、六五歳未満でかつ年間残留農薬検査対応農業従事六〇日以上の者がいる農家、としている。

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「年間販売金額五〇万円ちょっとで残留農薬検査対応農業生産をやっているといえるのか」という常識(?)で厳しくみれば、一ヘクタール未満の販売農家のなかには、EU基準での自給的生産者がかなりあるはずだ。

もちろん、ヨーロッパ大陸と日本列島では、農地の肥沃度や土地生産性が違う。

だから単純な比較はできないのだけれど、日本の農家の七割ほどは、EU基準では「食料生産者とはみなさない」ということになりそうだ。

また、イギリスではスタンダード・マン・デイという農政用語がある。

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