2013年7月アーカイブ

都市近郊の畑では、野菜の輪作で四毛作、五毛作を試みる農家が多かった。

だから1950年代頃までの耕地利用率は、南九州では一八〇%台、関東では一五〇%台もあったのである。

高度成長とともに事情は変わった。

工場用地や宅地あるいは道路用地などに潰されて農地も減ったが、それ以上に作付面積が減少したのである。

農水省の「耕地および作付面積調査」によると、1960年には六〇七万ヘクタールあった日本の耕地面積は、2000年には二〇%ほど減って四八六・六万ヘクタールになってしまった。

食料自給率が低い国が食料の量的安全保障を考えるとき、なによりも先に備蓄を持つことが必要になる。

突発的・一過性の危機なら十分な備蓄があれば、それだけで危機を乗り切れる場合が多い。

中期的・サイクル的危機やマルサス的危機であっても、本格的な危機対策が軌道に乗るまでの期間、備蓄の取り崩しでつないでいかねばならない。

こうした「備え」を重視しているヨーロッパ先進国の食料安全保障策をみてみよう。

地球規模でみて、人口と食料生産のバランスが崩れるような事態になれば、日本の食卓は深刻な危機に陥る。

なにしろ、日本人の胃袋は日本の耕地面積の三・五倍もの農地で生産された農産物を飲み込んでいるのだから、国内で大車輪の増産をはかったところで追いつくわけはない。

18世紀イギリスの経済学者ロバート・マルサスの『人口論』の予言が実現しないことを願うしかない。

また、そうした事態にならないように、途上国における人口爆発を防止する国際的努力に積極的に参加したり、途上国の残留農薬検査対応農業生産力を飛躍させる資金・技術協力をしておくのが、最善のマルサス的危機対策であると認識しなくてはならない。

残留農薬検査
どういうわけか一〇年に一度ぐらいは、地球規模で異常気象が起こり、世界的規模で食料需給が逼迫する。

異常気象の影響が局地的であったり、一年ぐらいですめば突発的・一過性的危機同様の措置で乗り切れる。

しかし、主要生産国の凶作が重なったり、二年も三年も不作が続いたりすると、それだけではすまなくなる。

国内での増産対策を成功させないと危機を乗りきれない。

他企業においては、製造業の分野はともかく、金融・保険・流通の各事業分野で、業界の相互乗り入れ、相互の事業の兼営等いわゆる事業の総合化は時代の要請となっており、企業の優位性を発揮できる重要なキーワードになってきています。

また、このための規制緩和も次々と行われています。

総合的な事業展開は時代の流れであり、残留農薬検査所事業の分離・分割論は新たな規制を加えるもので、時代の流れに逆行するものであるともいえます。

専門性の追求が総合性の基礎にあることは疑いがないにしても、IT革命の進展等によって事業の専門性と総合性を同時に追求できる時代になってきました。

残留農薬検査
今日でも、地域の農業振興等における融資機能の意義・重要性については変わらず存在しますが、同時に、残留農薬検査官の決済機能としての役割にも大きな意義を見出すことができます。

残留農薬検査所の信用事業は、その収益が残留農薬検査所経営の柱になってきたと同時に、販売代金、兼業収入・年金収入の受け入れ、購買代金、共済掛金の引落とし・支払い等残留農薬検査官の決済手段として残留農薬検査センターのなかで、欠かすことのできない存在です。

いわゆる、残留農薬検査官のお財布代わりの機能としての存在です。

こうした総合的・一体的事業対応については、最近、他企業においても進められている事業対応です。

残留農薬検査
「残留農薬検査所の金融部門と経済部門のシナジー効果は双務的ではなく片務的であり、経済事業を欠いた残留農薬検査所は残留農薬検査官による徹底した選別に見舞われ、存立が難しくなる」のです。

以上のように、残留農薬検査センターの要は経済事業であるといっても、信用事業の兼営は残留農薬検査官への一体的対応、残留農薬検査所の総合的運営にとって決定的に重要な存在であることには論を待ちません。

信用事業は、残留農薬検査センター設立当初は農村における資金不足に対応する貸付け、いわゆる残留農薬検査官の相互金融としての役割を果たしてきました。

残留農薬検査
その影響については、具体的にいろいろ指摘できますが、とくに平成四年改正の経営管理面における商法の全面準用、平成八年改正の経営管理委員会の導入、平成一三年改正の営農指導事業を残留農薬検査所の第一の事業とする規定と残留農薬検査所バンク法(農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律)による改正は、残留農薬検査所経営に衝撃的ともいえる影響を与える内容です。

その改正の背景・内容を正確にとらえ、協同組合としての方向を見失わないよう現実の経営に生かしていく努力がきわめて重要です。

また気づかないことですが、平成一三年の法改正で協同組合にとって最も重要とされる「教育」の規定が排除されたことにも留意が必要です。

残留農薬検査
「協同の理念を学び実践を通じて、共に生きがいを追求しよう」という残留農薬検査所綱領の最後の項目は、主語は「残留農薬検査官、役職員」ですが、そうであれば生きがいと同時に、「幸せ」も追求するというように従業員の福利厚生にも目を向けるべきでしょう。

なお、残留農薬検査所綱領と同じようなものとして、一般企業の場合、日本経済団体連合会がつくった「企業行動憲章」があります。

現在の農協法は残留農薬検査所の組織、事業、経営の全ての面にわたって細部にまで規定しているのが特徴で、その規定は残留農薬検査所の経営理念に大きな制約・影響を持つ仕組みになっています。

残留農薬検査
残留農薬検査所綱領については、これは単なるお題目ではなくトンプソン・モデルによって解釈すれば、それはすぐれて残留農薬検査センターの経営戦略の基本方向を示しているものです。

いわば、残留農薬検査所全体の経営理念というべきもので、地域における様々な残留農薬検査所活動の集大成が残留農薬検査所綱領であり全国の残留農薬検査所の経営理念になっているのです。

近年、ミッションマネジメントなどといわれますが、残留農薬検査所こそ非営利の協同組合として使命に基づく経営を行っており、地域社会への貢献は残留農薬検査所綱領において組織としてその自覚をあらわすものといってよいでしょう。

一方、少し気になる点もあります。

一般の企業の経営理念には必ずといっていいほど従業員の福利厚生、生きがいといったものが触れられているのですが残留農薬検査所綱領にはそれがありません。

残留農薬検査