2018年9月アーカイブ

農家一戸当たりの耕作面積が狭いーこれが、日本の農業の最大の弱点である。

政府による基盤整備の推進や、離農者の増加も要因となって、経営規模の大きな農家も増えてはいる。

しかし、その反面、0.5ha未満という小規模農家がまだ40%も占めている(北海道を除いた地域)のが実状だ。

このため、農家一戸当たりの耕地面積は、全国平均で1.2haしかない。

ところが、北海道の場合、明治以降に開拓されたという背景から、経営規模が大きく、一戸当たり耕地面積は、全国平均の十倍近い11.3haに達している。

その北海道の中でも、とくに経営規模が大きいのが、十勝地方である。

87年の統計によると、総農家数10670戸に対して、5720戸と、半分以上が20ha以上の耕地をもっており、平均面積も24.3haと、全道平均の2倍以上だ。

専業農家率も高く72%。

これは全道平均の1.5倍である。

経営規模では、ヨーロッパなみの水準といわれている。


ネギ作りの苦労は植え付け

山武郡成東の○○さんは、ネギを50haと水稲を97ha耕作している専業農家で、代々この地域の地主であったが、現在は奥さんと二人で農業をやっている。

ネギ作りの苦労は植え付けだ。

「ネギは、4万から4万5千本植え付けますが、その作業だけでも大変ですよ。最近は機械でやるから前から比べるとだいぶ楽になったけれどもね。だけど4万本以上植えて収穫できるのは3万本くらいしかない。例年3割方は減るのを見込んでいます。だから虫や病気が発生したら大変だよ」

出荷調整も大変な作業のようで、奥さんがていねいにネギの根っこを切り、泥もきれいに落としていた。

「消費者は、こうしないとなかなか買ってくれないので」と汗をふきながら答えてくれた。

「良いものを作ろうと思えば農薬をまかなければできないよ。殺虫剤や殺菌剤を、1年間に15回くらいまくかなあ」

とくにネギの小さいうちに虫に食われてしまうと商品にならないそうである。

「健康のことを考えてマスクをつけるようになったけれども、農薬を使わないと商品価値のあるものはできないよ」