凶作1975年と翌年の豊作1976年における降水量の平年比(%)と低気圧をもたらすジェット気流の動きが比較されています。
陰影域はソ連の主要穀作地帯を表わしています。
凶作年にはジェット気流が北方へ移動し、農業地帯へ雨をもたらす低気圧が接近しませんでした。
このため、1975年には農業地帯の6月降水量は平年の五〇%以下で、かなりの地域が二五%以下になりました。
一方、1976年にはジェット気流の軸は農業地帯の上を西から東へと縦断しており、頻繁に低気圧が通過し降水をもたらしました。
それゆえ、農業地帯の6月降水量は平年の一〇〇~一五〇%以上となり、多雨・低温という豊作型の天候が続いたのです。
以上の説明からわかるように、気圧配置のわずかな異常によって異常気象-高温・低温そして多雨・少雨が発生します。
一見、平年値からのわずかな偏差でも、作物の生育・収量形成にとってはかなりの影響を与えます。
農業技術が発達し、さまざまな農業資材が豊富に使用されている現在でも、広い耕地に生育している作物群を異常気象のインパクトから守ることは不可能です。
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