化学合成農薬を使ったために健康を損ね、農薬の怖さを体験した農家の中から、化学合成農薬や化学肥料をまったく使わずに有機農業を始める人が出てきました。
こうした有機農業実践農家の大部分は小規模な家族経営のため、病虫害を分散し価格暴落のリスクを回避するため、多品目の作物を少しずつ栽培しています。
有機農業は「農業基本法」が目指した、大規模経営や特定の品目に集中して効率化をはかる専作経営とはなじまないのです。
つまり有機農業は今の農政のなかではきちんとした位置づけができていません。
有機農業を日本全体に広げるためには、農業基本法が進めてきた近代農業の功罪を厳しく評価するとともに、有機農業を日本農業の将来像のなかにしっかり位置づけ、それにふさわしい農業政策を打ち立てることが大切です。
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