ガットの紛争処理手続を最も活発に利用してきたのは,米国とECである。
まず最初に米国について注目すべき点は,一方的制裁措置やガット無視の行動によって「ガット離れ」を進めているといわれる米国が,実はこれまで最もひんぽんにガットの紛争処理手続を活用してきた事実である。
1948年から89年までの間にあった総計約140件の紛争案件のうち,約3割の45件は米国の提訴によるものである。
1980年代から90年代初めにかけてガット提訴件数は急増しているが,この時代だけをとってみても,提訴数の一番多いのは米国である(80年代の米国の提訴数は23件,2位のECは21件,続いてカナダの20件)。
米国のガット提訴の多さは,1つには,ガットを戦略的に使うという米政府の政策判断を反映している。
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