ある人が村に入った。
そうしますと、塀とか、畜舎の壁とか、電信柱とか、あっちこっちに的が描いてある。
やたらとたくさんの的が描いてある。
どれをみても、的の真ん中に一発ずつピストルの弾が当たっているわけです。
これをみた人が、この村にはすごい射撃の名人がいるに違いない。
ぜひ会わせてくれということになった。
そこで村長さんも慌ててしまって、役場の連中がみんなで手分けして村じゅう探したら、一人の鼻たらし小僧、小さな子供が出てきた。
どうもこの子供が撃ったらしい。
「お前がこれを撃ったのか」「そうだよ。僕が撃ったんだよ」。
「これをみると一発も中心から外れていないようだが、どこでこういう射撃の名人芸を習ったのだ」ということを子供に聞いたら、この子供は、「こんな易しいことが大人にわからないのか。それはこうするんだ。それは最初にピストルの弾を撃って、次にそれを中心に的を描いたんだ。だから、みんな真ん中に当たっているだろう」というので大人はがっかりしてしまったという。
他愛のない話です。
コメントする